「土と内臓」
2020/6/14
翻訳本だが、題名をどうするかは売れ行きを決定的に左右する。原題「The Hidden Half of Nature」を「土と内臓―微生物がつくる世界」とした築地書館スタッフのセンスを称賛したい。「隠 ...
パスポートの記憶
2020/6/5
戦後生まれの引揚者にとって、海外は夢の夢であった。高校2年の時にAFS(アメリカンフィールドサービス)で同期生4人が米国留学を果たした時は、たまげてしまった。4人とも付属中学出身ということもあり、秘 ...
「雇用なしで生きる」
2020/5/30
これからどうなる。これからどうする。コロナはそう迫っている。「希望は戦争」といい放った非正規のフリーライター・赤木智弘を思い起こす。戦争が起きれば、既存の価値観がなくなって、非正規も正規もチャラにな ...
精神科医 野田正彰
2020/5/14
人間の精神とは何か。心に置き換えてもいい。どこに存在して、どうやって反応するのか。その精神が病んだ時に、精神科医はどんな兆候を察知して、いかなるエビデンスで治療法を決めているのか。内科医の武器は聴診 ...
「食と農」からの再生。藤原辰史
2020/5/3
新しい若い知性が現れた。農業史研究という変わり種の44歳。鋭く切り込む感性が初々しい。京都大学人文科学研究所の藤原辰史・准教授。朝日新聞(4月26日)で、新型コロナで啖呵を切っている。「すべての資質 ...
「生涯編集者」
2020/4/21
何が幸せか。福沢諭吉を持ち出すまでもなく、生涯を貫く仕事を持つことに尽きる。編集者というのは、作家の発掘育成から、作品の着想や助言など作家以上の能力が求められる。また雑誌をどんな企画で、どんな書き手 ...
「声なき人々の戦後史」
2020/4/12
お前にできるか。就職して間もなくだったが鎌田慧の「自動車絶望工場」を読んで思わず、こう思った。鎌田は34歳の時、ルポライターでやっていくと決めたが、家族を抱え、取材費もなく身動きが取れない状況に追い ...
なかにし礼「生きるということ」
2020/4/3
アルマーニを着こなす。こんなことで遠ざけていたが、38年の満州生まれはやはり気になる。あいさつ代わりに手にしたのが「生きるということ」(毎日新聞出版)。なかにし礼が再発がんを辛うじてかわしながらの手 ...
地方商店街でトリアージを
2020/3/20
富山の中心商店街といえば総曲輪。アーケード街に店がひしめいていた。ピーク時の地価は坪300万円。高級洋装店ジャンは100坪の土地を、つまり総額3億円でポンと購入して語り草となった。今はどうか。再開発 ...
反緊縮への理解深まる
2020/3/9
2月28日午後、歩いて10分の富山大学に急いだ。同大・新里教授からの誘いに二つ返事で応じてみたが、はてさて理解できるのだろうかの不安が先立つ。第23回政治経済学セミナーは約5時間で5テーマが報告され ...