KDDIがローソンに

 コンビニとは縁の薄い老人も驚いた。ローソンの経営にKDDIが三菱商事と並んで加わるという。三菱商事がKDDIに持っている株を譲り、各50%となる。三菱商事だけではこの先は限界がある、とはっきり言明し、昨年5月にKDDIに申し入れている。どんな意図が隠されているのか興味深い。コンビニの売り上げシェア1位はセブンイレブンで33%、ローソンが21%、ファミマが17%と続く。当然セブンを超える画期的な事業プランが用意されているはずだ。KDDIはほぼ4900億円を投じるのだから、メンツにかけて挑まなければならない。

 1980年頃に第2電電構想が持ち上がった。NTTの千本倖生が京セラの稲盛和夫を説き、ウシオ電機の牛尾治朗、リクルートの江副浩正、セコムの飯田亮などが集まり、熱っぽく語り合ったエピソードが伝えられている。インテックの中尾哲夫もその席にいた。それから40年余、KDDIもスマホ市場の成熟に手詰まりを感じているのだろう。次の一手は小手先のものではなく、そのスケール、発展性がポイントになる。

 さて、セブンを超えるためにどんなことが想定されているのか。セブンのスタートは74年の豊洲1号店。鈴木敏文がイトーヨーカ堂創業者・伊藤雅敏のコンビニ参入の不安を説き伏せて、その天才といわれるひらめきで軌道に乗せてきた。ダントツの店舗数と商品開発力で築き上げたビジネスモデルは盤石といっていい。

 それはまた「ITによる死に筋管理」と呼ばれ、よく売れる商品だけが売り場で生き残っていくシステムで、おいそれと追随できるものではない。そのITは野村総研が担ってきた。その究極がセブン銀行といえる。背景には1000億を優に超えるシステム開発費用を負担できる規模の利益がある。いわばセブンの強みは「IT+人材力」に尽きる。

 さて、これに対抗するローソンには「ビッグデータ+AI」という仮説が当然のように思い浮かぶ。携帯電話会社の最大の資産は、利用者のGPS情報などのビッグデータ。来店の動機や、消費行動などが分析、予測することができる。セブンが販売時点管理POSという過去情報に依存しているのに対して、未来情報で持って予測し、いち早く対応できる利点を活かしていく戦略。一店一店、顧客層に合わせた個別の店舗展開も可能になる。

 ここまでは評論家の論である。老人には実際どうなるのか、想像が及ばない。消費意欲が乏しい老人を対象にしてはそれが正しくとも、消費の絶対額が伸びるわけがない。そんな諦めが先にきてしまう。ひょっとしてKDDIはローソンの海外展開を狙っているのかもしれない。

 近所の大型書店が閉鎖に追い込まれた。在庫管理だけの人件費、大型店舗の光熱費、駐車場含めた固定資産税などの固定経費が賄えていないのが誰にも見えていた。この大型書店の創業者は1978年発行の角川日本地名大辞典の売り上げが全国ベストテンに入り、その営業力が取次であるトーハンに認められ、その支援を受けて、町の小さな書店から大型書店を展開するまでになった。セブンイレブンの鈴木敏文もトーハンの出身である。時代の変遷は想像以上に早い。

© 2024 ゆずりは通信