ドミノのひと倒し

戦いすんで日が暮れて・・・。富山市議選、砺波市議選が終わって、投票結果を見ながら「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」ということだな、と腑に落ちた。投票行動は情で動き、利に働き、ほんの少しだけ知が作用する。ちょっぴり手伝ったのが砺波市議選に立った宝田実候補。といってもポスター張り程度だが、彼には選挙へのこだわりがあった。今後のためにも紹介したい。
 期間中に許されている選挙運動は、あまりにも効率が悪く、どこまでやってもきりがなく、やればやるほど、あたりまえの暮らしから離れていく。「みんなちがって、みんないい」という金子みすゞの詩が心を打つのは、私たちの本心が、そうなっていないからで、口には出さなくても、自分だけが正しいと思い、他人を差別的に見ている。趣旨はどうであれ、知っている人の、がんばっていることを尊いと思い、動かない人はサボっている、怠け者だと思っている。伝わらない人には、どうやっても伝わらないのだ。逆に、伝わる人には、何もしなくても伝わるのではないか。人を動員して、名前を連呼し、見当違いながんばりを見せつける選挙で、議員さんたちは、誇りを感じているか。ほんとうに幸せなのだろうか。というわけで、彼はポスターと選挙公報、自分のブログに限った。残念な結果に終わったが敗戦の弁である。「私の主張、運動、人柄含めて、他の候補の半分の支持しか得られず、549票にて、次点。唯一の落選候補となった。支持していただいた皆さんに、お礼とお詫びを申し上げる。本当にありがとうございました。力及ばず、ごめんなさい。家族や仕事を大切にしながら、9条のある日本を守る、民主主義を取り戻す、という私の立場は、ひとの支持の有無にかかわらず、変わらない」。そして、彼はまた歩き始めている。ブログ22世紀塾をぜひ読んでほしい。
 地方議員の大切さは森友問題で見て取れる。木村真・豊中市議が一昨年暮れに「学校法人森友学園 瑞穂の國記念小学校 児童募集中」の横断幕に、あれと思ったのが始まり。豊中市はその隣を公園用地として14億円の市費を投じていた。できれば、この建設用地もほしかった。そんなことで気にかけていたこともあり、悪名高い森友学園に反応し、近畿財務局などへの公開請求となったのである。木村市議は無所属3期目の53歳。そんな感性と行動力を持った市議はどこにでも必要なのである。恐らく森友問題は氷山の一角に過ぎない。見過ごされた不正は数知れない。東北の復興にしてもそうだ。地域からの発想でやろうといいつつ、いつの間にか国指導となり、今村復興大臣発言のように、不満なら裁判でもやったらどうかになってしまう。震災時には多くの議員が現場に駆け付けた。その時にメールアドレスを教え、必ず返事をするから住民にいったのはNPO法成立に尽力した辻本清美だけではなかったろうか。ひとりと向き合う政治を創り出すことである。
 現状に満足している議員にとって一番嫌なことは、有権者との質問形式のやりとりではないだろうか。砺波市議選で公開討論会への不参加を議会側が全会一致で決めたことに象徴されている。共謀罪はどう思うかという質問には、地方議員では応えられませんとでもいうのであろうか。自民・公明の与党公認の地方議員は少なくとも明らかにしなければならない。国会議員の親衛隊のように使いまわされる地方議員を選出したわけではないのである。いい議員を見つけ出す方法にもっとエネルギーを掛けなければならない。
 最後に盤石の一強体制に見えるが、強いようで弱い、弱いようで強い、の反語的な見方は正しい。ドミノのひと倒しとなるきっかけは、議員やジャーナリストだけではなく、これほどのネット社会では誰にも可能性がある。目を凝らして、世の中を見ていこう。そして、最初のドミノを倒そう。

© 2021 ゆずりは通信