わが至福の小春日和

何ともありがたい一日であった。11月23日。これぞ至福の休日。昨夜はのっぴきならないパーティがあって、いささか度を越してしまった。目覚めは6時、やや二日酔い。しかしご子息様の朝食づくりはわが役目。模擬試験日でもあり、ちょっとは気を張ってと、野菜炒めにかぼちゃを一品加えることに。息子の食欲につられて、無理に口に運ぶと不思議に二日酔いの気だるさも消えていくではないか。この天気である。何がなんでも布団干すぞ、と心に決める。しかし、ヘボ用といっては相手に悪いが顔出し程度の仕事が入っている。お茶会に招かれているのだ。9時の開会。富山駅前の「松や」。祝儀を懐にやおら受付へ。普通はどうぞどうぞと無理矢理に茶席に誘導されるのだが、今回は意外にぞんざいな扱い。所在なさげにふらふらとしているが、声も掛からない。内心しめしめ。さりげなく、さも代理で来たような顔で外に出るが誰も気づかない。ラッキーと声を挙げ、逃げ足だ。駐車場に行くと、ここは20分までは無料とのこと。これもいい。ワイシャツは、次の日も間に合うぞと丁寧に脱ぐ。いつの間にか所帯染みてしまったが仕方がない。さて布団干し。ベランダの手すりを雑きんでぬぐう。築17年。傷みも目に付くが気にしないことに。布団干しは、男所帯にとっては天気と仕事が合わないとどうしようもない。この天の恵みは2倍にうれしい。さて一服と思いきや、わが駄犬コロが散歩の催促。覚えたての「五番街のマリー」を口ずさみ、定番コースをはみ出しての特別サービス。裏山の紅葉も捨てたものではないと一句をものにする。「小春日や妻の遺影も取り出して」。やおら朝刊に目を通すと、午後2時から早慶ラグビー決勝対決中継の数行が飛び込んできた。ピッピッピとわがコンピュータが作動。そのプログラムに乗ることに。これからの3時間が勝負。白のジャージに着替えて、空港前の総合体育センターへ。いつもであればプールに直行だが、きょうはなんとか大会で一般開放なし。というわけで、誰もいない400メートルコースもある競技場に立つ。この足元の感触。ひざまずいて頬ずりしたい気分である。40年前の中学3年にタイムスリップ。全国中学放送陸上大会。その当時はHHKに全国のタイムを集めての競技であった。出場種目は200メートル。スパイクでのクラウチングスタート。25秒6。全県で10位程度。ホームストレッチでの加速が売り物だった。それ以来であろうか、正式なコートに立つのは。30分歩いたり、跳ねたりと汗ばむ心地よさを楽しんだ。ちょうど正午。サウナで更に老廃物を流し去る。夕食の献立をスキヤキに決め、スーパーに立ち寄り、2時ちょっと前の帰宅。昼食の準備をしてテレビに向かう。ここのところ慶応の優勢が続いている。さてどうかの不安も開始早々、早稲田得意のオープン攻撃から先攻トライ。エンジのジャージが縦横無尽に駆け巡って早稲田の圧勝。いいぞといいぞと、残り物の昼食も実にうまい。そして、取り入れた布団のこのふわふわ感。小一時間の昼寝も楽しむことに。夕食のスキヤキも、一本のビールも、そしてNHK歌謡チャリティーコンサートも。この世をばわが世とぞ、とはこのようなことか。

こんな具合にすべていい事づくめで、中年男の一日は暮れたのであった。

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