『最後の「天朝」』
2017/12/26
中国の歴史家が手に入る各国の一次資料ふんだんに使って、毛沢東―金日成時代の中朝関係を描いた大著である。『最後の「天朝」』。著者は1950年北京生まれの沈志華で、朱建栄・東洋学園教授が1年かけて翻訳し ...
南京虐殺と「時間」
2017/12/17
12月13日、中国と日本の双方で南京事件をめぐる集会が開かれた。日中戦争のさなかに起きた旧日本軍による南京事件からちょうど80年になる日である。中国のそれは南京市にある「南京大虐殺記念館」で習国家主 ...
生きる処方箋
2017/12/12
酒席を共にした青年は24歳。気立てのいい好青年で、来年3月に子供ができる。専門学校を出たが、就職でつまずいている。性格は社交的で、接客業に向いていると思っていたのだが、親戚筋の下請け製造業に勤めた。 ...
山崎豊子と<男>たち
2017/12/1
「白い巨塔」の医師・財前五郎、「華麗なる一族」の頭取・万俵大介、「不毛地帯」のシベリア帰りの商社マン・壹岐正、「大地の子」の残留孤児・陸一心、「運命の人」の新聞記者・弓成亮太。すべてが女流作家・山崎 ...
広辞苑 第7版
2017/11/27
大廈(たいか)の顛(たお)れんとするは一木の支うる所にあらず 。大きな建造物が倒れようとしているのを、一本の木でもって支えることはできない。こんなことわざを思い出しつつ、岩波書店の広辞苑第7版の発売 ...
松村外次郎と熊谷守一
2019/9/26
圧倒的な存在感でブロンズ像「タバコ」は迫ってくる。彫刻家・松村外次郎の1942年の作品で戦争が差し迫ってくる中で、作成された。筋骨隆々の兵士が両手にした銃をブランコにして、裸の幼子がぶらさがっている ...
統計学の日本史
2017/11/9
高速道路の料金にはいつも腹立たしい思いをしている。最近は滅多に乗らないが、自宅から30キロ近く離れた勤務地だった時、自分なりの理由をつけて950円を支払っていた。通勤費が高速代で消えてしまうこともし ...
同考の士
2017/11/3
70歳前後を過ぎたら、検査・検診は無用ではないか。それが確信に近くなってきた。同考の士ともいうべき作家の論である。30歳の時に「九月の空」で芥川賞を受賞した高橋三千綱。現在69歳だが無頼と自称してい ...
スタニスラフスキーへの道
2017/10/24
弱さの中の強さ、強さの中の弱さ。ものごとは直線的に進むわけではなく、らせん状に曲がり落ちたり、急速に上昇したりする。そんなことを自らにいい聞かせて、衆院選結果をのみ込もうとしている。いまは語りたくな ...
山陰紀行
2017/10/10
山陰のイメージは吉永小百合の「夢千代日記」である。山あいの鄙びた温泉宿というところであろうか。亡妻が同じ下宿で親しかった友人が鳥取出身ということで聞かされた「貝殻節」もそうだ。10数年前に石川県立音 ...