才能の不平等。千住3兄妹にみる

千住三兄妹 才能がうらやましい。しかも三兄妹揃って。才能と、いってもそんじょそこらにある代物ではない。国際級の折り紙付きで、これからまだまだというもの。千住三兄妹を見ていると、世の中不公平と思いたくなる。

兄・博が画家。次兄・明が作曲家。そして妹・真理子がヴァイオリニスト。 はじめに世に出たのが真理子。12歳での鮮烈なデビューであった。北日本新聞ホールで演奏したがあっという間にチケットは売り切れ、会場は感動的だった。兄2人は「千住真理子のお兄さん」という代名詞がその時から付きまとう。その肩書きは重く、思春期の二人にのしかかった。その時、博16歳、明14歳。それからの二人がすごい。 今どんな絵を見たいかと聞かれれば、千住 博の「ザ・フォール」である。1995年の第14回ベネチア・ビエンナーレで優秀賞を受賞した作品。絵の手前に水が張ってある。見た人はほとんど圧倒されるという。宇宙と対話しているといわれるほどスケールが大きい。今最も注目される国際的な画家である。18歳の時慶応大学へのエスカレーター進学を拒否、芸大に進む。「僕の入りたいのは日本画なんだ」とはじめて告白する。それに応えて慶応大学工学部教授の父親は「もしだめなら、人生は30歳でやり直せる。ベストを尽くせ」と。二浪しての入学。弟・明にいわせると、兄の絵画と美的感覚とファッションセンスは突出したものがあり、お下がりの洋服が待ち遠しかった、と。妹・真理子はいう。ロシアへの演奏旅行に付き添ってくれた時、演奏の練習している傍らで、9時間でも10時間でもスケッチブックに向かっていたという。「悩んだら描きつづける、真理子も弾きつづけろ」 そして、ここがポイント。芸術家になるには、その前に職人にならなければならない。芸大受験は職人修業期間。それを経て始めて創作がある。基礎のない者は単なる趣味。次兄の明は、同じく芸大作曲科を出て活躍。テレビでよくみかける。二人の芸大大学院修了作品は史上初の兄弟での芸大買い上げである。最近3人出演のトーク&コンサートをやっている。なにも兄妹3人に才能が集中しなくてもいいのではないかと思う。我が家の愚息三人の一人にでもわけてもらってもいいのでは、と。

しかし、人生はやはり気迫と努力が99%なのであろう。うらやましく思う前に、繰り返し繰り返しこれという基本技を習得させることである。 ニューヨークの千住博のアトリエをたずねてみたい。

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