植民地2世作家という呼び方がある。朝鮮、台湾、南樺太などで生まれ、引き揚げてきた作家達で、70年代前後に花開いた。古山高麗雄、五木寛之もそうだが、梶山季之もそのひとりであった。彼の父は朝鮮総督府の高官。30年京城に生まれているから、敗戦時は15歳。感受性の最も豊かな時に、つぶさに植民地化された民族の屈辱、何としても許せない“恨”をみていたといっていい。それらをベースにした初期の作品「族譜・李朝残影」を岩波現代文庫で初めて知ることになったが、不明を恥じなければならない。
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