イムニタスマスクで祝宴

腹立たしい政治状況は続くが、60歳を過ぎてもこうした朗報が届けられるというのはうれしい。何とイムニタスマスクが5000個の売り上げを達成したのである。なにしろ有限会社ユーウィンにとっては「ゆずりは通信」の刊行に続く第2の開発商品で、快挙といっていいだろう。バックナンバー322で開発秘話を披露したのが06年9月。8年を要したことになるが、もとよりロングテール販売でよしとしていた。爆発的に売れれば、老人の体力では無理である。いま一度、寅さんもどきの口上を聞いてほしい。一緒に喜びを分かち合いたい。
 「さあさあ、手にとってごろうじろう。いびき、口内炎、睡眠時無呼吸症候群でお悩みの方に、これほどの朗報はないよ。特許申請中の新製品だ。寝る前に、ひょいとマスクを掛けるだけ。違和感もなく、眠りを妨げられることもない。朝はすっきりだ。そして、この値段。さあ、持っていけ!泥棒!」。
 当初の販売手段としては、縁日回りをしなくてはならないと覚悟していた。そういえばこんなこともあった。いわき市小名浜の住人で売薬を生業としているドンホセに協力してくれないか、と声を掛けたが、お前ら何を考えているのだと一蹴されたのである。定年後の手慰みみたいなお遊びに付き合うわけにはいかない、俺がどんなに苦労して販売先を確保してきたか、お前らにわかってたまるか、という気持ちだったのであろう。そんなこともあり、友人、知人に押売り同然に売り歩き、いま思い出しても冷や汗が出てくる。薬局チェーンに持ち込んで玄関払いされたこともある。それなりの苦労はしてきている。決め手になったのはネット販売である。頭を下げなくても、全国から注文が舞い込んでくる。集金もしなくてよい。その頃は魚津市のかまぼこ店・河内屋が先駆けてネット販売を手がけて成功していると耳にする程度であった。そんなインフラの余慶が老人にやって来るとは夢にも思わなかった。
 何といっても相棒である小澤清の天才的なひらめきがあったればこそである。開発秘話ではソニーの井深大、ホンダの本田宗一郎に摸していたが、勝るとも劣らない。加えて5000個の発送を一手に引き受けて、やり遂げた忍耐力はどれほど賞賛しても尽きることはない。ワクワクドキドキしていたいというのが彼の身上だ。かのドラッカーも「ワクワクしながら、意気込みを持ってやるような仕事でなければ、お客に対して失礼だ。そうでないものは思いきってやめてしまうか、その仕事を熱意を持ってやるところとコラボレーションしたほうがいい」といっている。期せずしてドラッカーを実践している。
念のためにイムニタスの由来だが、免疫(immunity)からの引用である。その頃免疫学者の亡き多田富雄東大名誉教授に傾倒しており、ちゃっかりいただいた。
 胸がすく思いとはこういうことだろう。ささやかな収益で既に東京旅行をやり、小澤清と岩瀬中学校同期の四十木敏夫が50年ぶりに会って杯を重ねた。
 また、このイムニタスマスクを承継する人間も決まったことを申し添えておきたい。もう少しで在庫ゼロとなる。コストを考えると5000個のロットは必要である。どう判断するかは、30代の彼に掛かっている。この幸運をぜひ受け継いでもらいたい。
7月26日お世話になった口腔外科教授、歯科医、HP製作者、薬剤師などを招いて祝宴を催すことにしている。私のことを忘れていませんか、ぜひ、招待しろ!と申し出る方があれば歓迎したい。

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