人頭割雇用減税

経営のマネゴトをし始めてから、人員をどう増やしていくかに悩まされている。医療福祉では、良質で豊かな労働力が不可欠な要素である。収入とのバランスを見ながら、現有スタッフの限界を見定めなければならない。企業存続はそこに掛かっている。現状をいうと、給与プラス法定福利費、加えて賞与、退職金などを加えると、人件費比率は70%を超えている。固定資産を出来るだけ持たないといえば聞こえはいいが、実際は持てなかった。その分人件費比率が高めとなるのだが、これは経営的にはやはり危険水域である。支出の大部分が人件費だとすれば、固定的費用が岩盤のようにあり、経営の柔軟さ、裁量の幅は極めて小さい。経営の醍醐味から程遠いので、老人が担うしかないともいえるのだ。
 また、医療法人社団は07年4月の改正で、持ち分のない、配当もない基金での設立となった。買い占めも、相続もできないので、資本をぽんと出してやろうという野心的な経営者も現われない。厚生省の認識も老人でいいということらしい。したがって、改正の前に駆け込みでの医療法人設立が相次いだ。改正前と改正後の医療法人では、大きく性格を異にしている。そんなこともあり、わが法人は10人足らずで、わずか1,670万円の基金を拠出してスタートしている。社内株主というべき社内からの基金拠出を原則とし、経営のリスクと異議申し立ての権利を持つ主要な働き手から成り立っている。経営の透明、公正さを掲げて、当面の低賃金も我慢してもらおうという老人の欺瞞経営が行われているといえるかもしれない。
 さて、今回のテーマは雇用と減税である。標題の人頭割雇用減税は、朝日新聞6日付け朝刊「私の視点」に投稿した小林敬幸・会社員のもので、理に適っているので引用した。医療法人は税等で優遇されていると思われているが、全く株式会社と変わらない。これはぜひ認識しておいてほしい。開業半年で真っ赤な赤字だが、3年後くらいには法人税で悩んでいると思う。というわけで、法人税減税に言及するなど3年早いといわれそうだが、人頭割減税に賛意を表しておきたい。法人はとにかく利益を出さないと、次のステップに進むことができない厳しい現実がある。
 彼のいう人頭割雇用減税は、従業員一人当たり数十万円の定額で、法人税から差し引こうというもの。所得税を払うパートや派遣社員にも適用する。恩恵を受けるのは多数の雇用者を抱える福祉介護事業者、サービス業、製造業などだ。利益の割りに雇用者の少ない金融機関や大企業は優遇されない。当然法人税を納めていない赤字企業は対象外となるし、納める法人税を超えて受け取ることはできない。かねがね雇用調整助成金に疑問を持っていたので、良質で社会に適応した中小零細企業がこうした形で弾みがつき、かつ雇用増につながるとしたら、これぞ合理的な減税システムと思ったからである。
 これだと雇用が増えれば法人税は減るが、その分雇用増による所得税が増え、失業対策費が減少する。わが法人に当てはめると、17人雇用しているので、ひとり10万円で170万円、20万円で340万円の戻し減税があるから、500万円から1,000万円の利益を出しても、実質法人税はそれほどかからないということになる。経営意欲も増すというものだ。
 政府が何から何まで面倒をみてくれという時代ではない。みてくれといっても財政事情が許さない。合理的なシステムで、自発的なやる気、企業家精神を鼓舞する政策をやっていくしかないのではないか。政治主導といいつつ、稚拙なやり方をやっていると、すべてが機能不全、学級崩壊につながりかねない。かって在籍した企業でも、成り上がりよろしく、慣れない賢しらな、独りよがりの論理を持ち出して、強権そのままに押し通して、自ら墓穴を掘ったさまを目の当たりにしている。
 わが愛する善良な老若男女よ!もう新聞、テレビの報道番組を見ないでいい。落ち着いて、自分の周りをゆっくり観察して、自分の言葉で考えてから行動を始めよう。オバマがいま経験している苦悩からどう脱していくのか。これにも注目していこう!

© 2020 ゆずりは通信