二つのグローバリズムの激突

あれから1ヶ月余が過ぎて、ホワイトハウスの一室。「一体われわれは誰と闘っているのだ。アフガニスタンか、タリバンか、ビンラディンかアルカイーダか」「あのテロリストを輩出した組織土壌だ。そしてアメリカを憎悪する全部さ。従来感覚の国家と国家ではないんだ」「白旗をあげて降伏することもないから、ニューヨーク五番街を凱旋パレードする日はこないということか」「それはあり得ないね。終りなき戦いと覚悟した方がいい。踏み出してしまったのだ」「あの惨劇が脳裏に焼き付いているから、国民は支持しているのだぞ。それが消えて、誤爆シーンや、あわれなアフガン難民の映像を見せつけられれば、飽きっぽい世論はどうなると思う」「とにかくビンラディンを見つけ出そう。日本の忠臣蔵だって吉良上野介の首をとったから後世に伝えられたんだ」「この選択は正しかったのか」「もたもたと犯人探しをしていたら、どうなっていると思う。彼を首謀者に仕立てあげ、すぐに報復攻撃を仕掛けたから国民の怒りをそらすことが出来たのだ。国民は待ってはくれない」「大統領。歴代のニクソンも、レーガンも、クリントンも過ちを過ちと認めたい衝動と闘ったのです。その弱気と闘うのです。過ちも一周待てば正解になることもあるといいます」「でも皮肉だよな。タリバンもビンラディンもソ連のアフガン侵攻に対抗するために、こちらが育てたんだからな」「これからはタリバンの野蛮さを映像で徹底して流しつづけて、国民の復讐心を燃やし続けなくてはな」「でも、中立は認めない、テロに反対か賛成かのどちらかだけだ。あの迫り方はよかった。江沢民も、プーチンもみんななびいて来たからな」「冬が来る前にタリバンを囲みこんで、雪解けから再開ということになるな」「しかしイスラエルのシャロンも図に乗り過ぎだな。この間に中東問題も進展させておかないとな」「イスラムのすべてを敵に回すわけにはいかない」一方、あれから1ヶ月のアフガニスタンの深い地下壕の一室。「一体あれほどのテロをやったのはどこの組織だろうな」「劇的で水際立っていて、テロの芸術といってもいいな」「ブッシュはわれわれの仕業だといってくれるから、否定はしないけど」「炭そ菌までわが組織といわれると、買い被りもいい加減にしてくれ、といいたいね」「身内ながらイスラムの組織力、人材の輩出力はわれわれの想像力以上だ」「反タリバンのアブドゥル・ハクの処刑も世界を戦慄させ、米空爆の限界を見せつけることができたな」「これからがわれわれの季節だ。昼夜の温度差50度の厳しさにヤンキーが耐えられるわけがない」「次なる政権像なんざ、取らぬ狸の皮算用というもんだ」「さあアラーの神に祈りを捧げよう」やはりアメリカ主導のグローバリズムと並んで、もう一つのグローバリズムとしてのイスラムがある。この二つのぶつかり合いに収斂されていく。アメリカでのムスリム(イスラム教徒)は1000万人を超えているという。全世界でいま最も信者を増やしている。東京西新宿に東京都庁と並んで東京モスクがある。一度のぞいて見よう。ハタミ・イラン大統領の「文明間の対話」の呼びかけに耳を傾けてみるべきだ。はて、わがイスラムはアラビアンナイト、アラビアのロレンス、月の砂漠、西田佐知子のコーヒールンバ。もしパキスタンに移住するとすれば、イスラムのフェミニストを目指すべきか、それとも一夫多妻でどっぷりとイスラム的な生活につかるか。悩むなあ!何という粗末な知性だろう。

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