変わる司法試験。無頼弁護士も輩出せよ

司法試験。法曹界を目指すにはこの試験の壁を潜り抜けるしかない。ちなみに昨年は36,203人が受験、994人が合格している。ざっと36倍。最難関の登竜門だ。何点以上ということではなく、1000人を目途に法曹界に送り込むという選抜方法。合格者の平均年齢26~27歳。今までの最高齢合格者55歳。3回の受験が目安で、2回目、3回目には特典があるらしい。つまり3回以上やっても無駄だからもうやめてほしいということだ。合格すると、司法研修所にて1年半の実務的な教育訓練がある。これには手当てがもらえる。そこを出て、それぞれに判事、検察、弁護士の道を歩むことになる。

しかしこの制度が変わろうとしている。今回の司法改革の重要なポイント。一発勝負の競争試験から、法科大学院での教育という「プロセス」重視の資格試験へと大きく舵を切る。具体的には、4年制の教養学部でじっくり、幅広く、自分の適性を見つける。それから3年制の法科大学院(ロースクール)を受験する。いまのところ全国15校、定員3,000名規模のロースクールが開設される。法曹人口を3倍にするというのとつじつまが合う。現在全国の法学部の定員は5万人。それでもざっと20倍の競争。司法試験はこのロースクールを出たものだけが受験できる。

この改革のきっかけを作ったのが黒部出身の柳田幸男弁護士。1933年生まれ。早稲田大学を卒業と同年に司法試験に合格。同大の大学院を卒業して、ハーバード大学院に学び、同大のロースクール客員教授、評議員を務める。数々の日米にわたる企業買収、訴訟を手がける有数の国際敏腕弁護士。東京有楽町駅前の正面にある大きなビルのワンフロアがオフイス。その上階にある会員制のレストランでご馳走になった。改革の背景には、日本の法曹界のレベルでは国際的に対等に闘えないという危機感がある。専門実務だけではないもっと幅の広い法曹人、とりわけ人間性や、社会、経済との関係においての深い洞察力を身に付けた人材こそ必要であり、作っていかなければならないという思いが改革へと駆り立てている。またこれを受け入れていこうとしている政財界には、グローバリズムにはえない、やはりアメリカの制度に合わせようという側面もある。うがった見方で、もっと体制側にとって順応性のある司法を求めているともいえる。つまらない事を考えてもらいたくないと、思うのだが。

でも単なる国際派ビジネスマンとしての弁護士ばっかしではつまらない。愚直で、任侠に富んだ弱気を助け、強きをくじく正義派、無頼派もいてほしい。一発司法試験で突拍子もない弁護士も出てきたわけで、その可能性も残してほしいものだ。

友達に、医者と弁護士を持つべしというが、周りを見渡しても弁護士はいない。自ら最後の一発司法試験に挑戦して、最高齢記録を破ったらどうか、という揶揄する声もあるが、資格を取ってとするのは主義ではない。

そういえば、北陸銀行OBの森岡さんはどうしているだろう。子会社への天下りをしとせず、北陸銀行取締役を60歳で退社。学生時代に取得した司法試験を生かして、司法研修所入りをして、孫の世代と机を並べ、弁護士資格を取得した人だ。森岡さんに、司法に寄せる思いを聞いてみたいものだ。

© 2024 ゆずりは通信