NPO「アリランおわら」の快挙

月30日W杯決勝戦に見入る日韓首脳。そこに陪席する両国サッカー協会会長。小泉が金大統領にささやく。「閣下。日韓のW杯メンバーで雌雄を決してみませんか。韓国の強さは十分承知していますが、日本の実力は貴国に比べて劣るものとは思っていません。ホーム、アウエイで2試合。いかがでしょうか。」「首相。私も考えていたところです。望むところです。ぜひやりましょう。」「閣下、早速同意いただきありがとうございました。付け加えて、その収益金を北朝鮮に役立ててはどうでしょう。確かに閣下の太陽政策が今回の襲撃事件で方向転換を余儀なくされそうな状況ですが、いま一度賭けてみませんか。」「小泉さん、あなたはそれほどまでわが同胞のことをっておられたのですか。感激です。靖国参拝を強行されるので誤解をしておりました。その件についても異論はありません」。FIFAを気にしてためらう両国サッカー協会会長もうなずくしかなかった。

宴のあとの虚脱感。それに輪をかける日本全体を覆う閉塞感。元の木阿弥に戻りそうな気配である。更なるステップへこんな夢ぐらい描けないものだろうか。サッカーファンならずとも両国民の多くは期待しているはず。外務省の不評もこれで少なからず払拭できようものを。

更に夢は続く。これを仕掛けたのは、富山の小さなNPO法人「アリランおわら」。哀調のアリランと越中おわらを通じて、日韓の文化の融合を考えようと発足。小泉の離別した夫人が富山にゆかりがあったことから、一種の脅しを入れて小泉に会見。この提案を承諾させたもの。実施は風の盆にあわせて9月1日(横浜)と9月8日(光州)。入場料収入20億、TV放映30臆の50億円を見込む。平壌にサッカー場建設、小中高大学各レベルのサッカー交流、そして食糧援助。これらの援助をNGOピースウィンズジャパンに委託する。

さてこれからが現実だ。あなたは北朝鮮問題をどう考える。瀋陽事件が続発すれば、何十万の難民が雪崩をうって中国国境を越えていくことも想像に難くない。38度線も反乱兵によって意外ともろく崩れるかもしれない。国家の崩壊でもある。その可能性も否定はできない。東ドイツがそうであった。そうでなくとも、21世紀の早い時期に朝鮮統一を実現しなければならない。その時、わが日本はどうするのか。

1876年日朝修好条規から1945年の敗戦までの70年間、どんなことがあの韓半島で行われてきたのか。また1950年の朝鮮動乱が疲弊した日本の経済復興の足がかりになった事実。これらを直視しなければならない。統一の負担、リスクを日本がどれほど取れるのか。わが国の尊厳がかかっている。新幹線も、高速道路もしばらく我慢して、いや金だけではなく、教育、福祉、医療、産業育成でのボランティア派遣など朝鮮統一のために汗を流さなければならない。何かを捨てよう。ノブレス・オブリージ、恵まれたものの自己犠牲とでもいうものを、この時こそ発揮しなければならない。そんな世論が果たして形成されるのだろうか。そんな思いとは裏腹に、先送り、その場しのぎ、また屈辱土下座外交という右からの攻撃に立ち往生する政治家達、などなど悲観的な状況しか思い浮かんでこない。

戦後日本の外交課題を要約すれば次の三つであろう。?ソ連いやロシアとの平和交渉締結。?北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国との戦後補償と国交回復。?沖縄基地問題を中心とする日米安保。戦後57年ただひたすら流されるだけの外交であった。一歩として進展していない。

岩波新書「植民地朝鮮の日本人」は中年男にこんな思いを突きつけた。

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