アマゾン・エフェクト

 あのセブンイレブンが1000店閉鎖するという。小売業の歴史的大転換が始まった。現金安売り掛け値なしの越後屋、大量消費時代をけん引したダイエー、24時間営業のセブンイレブンの出現に続く第4弾で、その象徴が巨大通販のアマゾンだ。アマゾン・エフェクトと称されているが、17年の「トイザらス」の経営破綻を皮切りに、百貨店、スーパーから、コンビニまでもが追い詰められ、市場からの退出が迫られている。

 日本経済の敗北といっていい。大きな原因はデジタルシフトという変革を軽く見過ごしてきたこと。効率化とコスト削減だけがITの目的だとして、それならシステム開発は外注だろうとなった。これでは新しい製品やサービスを生み出し、新しい顧客を創造することはできない。IT技術者を自社で抱え、問題意識を共有し、深めて、大きなビジネスモデルの変革を目指すべきだったのだ。

 先日10月6日、お節介老人が関わった「れいわ勝手連とやま」の立ち上げ集会に駆け付けた男性とお茶を飲むことになった。出版業をリストラされたという自己紹介に興味が湧き、つい声を掛けた。実は富山西武の破綻が彼の不安定な人生の引き金を引いた。富山西武は富山の中心街・総曲輪に72年に開店した。開店初日には10万人が押し寄せ、1億円を売り上げるという伝説が残る。堤清二が西武百貨店を率い、破竹の勢いで三越を抜き去った、そんな息吹きが富山西武にも及んでいた。老舗の大和に迫り、追い抜くのだという活気が売り場全体に感じられた。ところがバブルがはじけ、セゾングループが傾くと、06年あっという間の破綻閉店となった。突然職を失った彼はひょんなことから富山の出版社に関わり、出版という文化的空気を吸いながらやってきたが、出版不況は継続を許さない。60歳のいま、3交代のビル管理で糊口をつないでいる。

 歴史的な大状況の転換と、個人的な小状況をつなぐものを考えてみた。蒸気機関車が出現したのに、馬車をいつまでも残していいのか、という論からすれば、富山西武破綻もやむを得ない。資本主義の市場淘汰作用は民主主義にも通じている。新陳代謝システムがあれば、ファシズムを生むことはない。問題は小状況の失業対策である。アマゾン・エフェクトは小売業だけに限定されない、あらゆる分野で起こり得る。誰もが転職していい前提で、雇用保険の充実と、形式だけではない再教育システムは不可欠である。

 しかし、失われた10年といっていたが、ずるずると30年続いている。この間の先進国比較だが、日本の賃金は9%減少しているのに、他国では1.8倍に増やした。その生産性だが日本は世界9位から28位と転落させている。大きな発想の転換が必要なのに、小さな既得権に固執する経営者とそれを支持基盤とする政治が結びついて、小手先の政策や手法に終始してきた結果である。

 このままでは日本の崩壊は免れない。生産性の向上と少子高齢化を超えて解決するためには400万でいいといっていた年収を800万円にしなければならない。この目標を10年で達成できる才能を経営者にするのである。こんな記憶がある。富山西武がピークの時、地下売り場に豆腐屋が出現した。そこで初めて豆乳を呑んだのだが、その豆腐屋を西武池袋本店に出店させるという狙いがあった。

 さて、この豆腐屋こそ「山本太郎・れいわ新選組」だと思う。大胆な政策転換には、政権交代が不可欠である。消費税5%で足並みを揃え、庶民の生活再建を旗印にわくわくする野党共闘で衆院選に臨んでほしい。

 お知らせ。「れいわ勝手連とやま」発足記念講演会。11月4日午後1時30分から3時30分、サンシップ福祉ホールで。講師は蓮池透で、拉致・原発・れいわ新選組を語ってもらう。

 

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