参院選を終えて

戦いすんで日が暮れて・・・。荒野にひとり取り残されたようだ。選挙事務所はきれいに片付き、戦友たちはそれぞれ散っていった。暗澹とした気分は、当分消えそうにない。しかし、突き付けられた現実から逃げ出すわけにはいかない。臍を噛む思いだが、見ておこう。個人的な総括でもある。
 2016参院選富山選挙区。自民党・野上浩太郎33万9055票、対する野党統一候補・道用えつ子13万4212票。これも衝撃なのだが、共闘した4野党の比例候補に投票した富山県内票は17万7126票である。選挙区で獲得した道用との差4万2914票は何を意味しているか。比例で野党、選挙区で自民という信じられない投票行動をしたのが4万人以上いる。32の一人区の中でも、富山だけが際立っている。民進党の比例区で立った柴田巧の影響というしかない。みんな、維新と離合を繰り返す中で、民進での比例を選択した柴田は、選挙区は自民・野上、比例は民進・柴田という生き残り策に賭けたとしか思えない。地元現職の議席維持に論理矛盾もへったくれもない。しかし、どうだ。それでも及ばなかった。
 たらればをいえば、2者択一のドミノ選挙戦だから、もしこのねじれがなければ29万票対18万票となり、富山市議報酬問題で富山市選挙民に切り込んで5万票を動かせば、25万票を挟む接戦勝負も考えられたのである。勝手な思い込みであったが、全くの皮算用であったことが判明する。出口調査で、無党派層も野上50%、道用が40%と野上が上回った。完膚なきまでの敗北である。何となく気が付いていたが、不都合な真実は見たくないということだったのだ。市民連合の動きが機能しなかったし、市民層の運動量は絶対的に少なかった。琴線に響くような活動もあったのだが、既成政党に遠慮したところもある。市民文化と政党文化の軋轢だが、それを避けていた。その責任は重大である。
 さて、護憲リベラル派は、この参院選で4連敗となり、3分の1に押し込まれた。いずれもアベノミックスなる成長幻想に選挙民は金縛りにあってしまった。だまされ続けていることはわかっているが、他にどんな選択肢があるのかという消去法でもある。手もなくひねられている。NOでは勝てない、YESが不可欠といいながら、代案を見いだせない。成長が見込めない中で、雇用、賃金、福祉を誠実に語れば、簡単にYESにはならない。後世代に付けを回さない財政再建を優先すれば、生活の切り下げとなり、不況は避け得ない。
 その一方で、アベ政権は選挙こそ命がけの戦いとし、勝つためにはすべてを投げ打つ狡猾さだ。物量をこれでもかと注ぎ込み、その場しのぎの巧言を恥ずかしげもなく繰り出す。何でもありで、同一労働同一賃金も、介護離職ゼロも、最低賃金もくれてやる感覚でリベラル陣営に抱き着く。くれてやるのだから、少しは我慢しろよ、俺たちに服従すれば、もう少し分け前を増やしてやるよ。そして、国民を縛る改憲もようやく指呼の間に入って、あとは技術的な問題だとのたまう。あとに残るのは、想像を絶する負債と反論を許さない息をひそめるしかない社会である。
 こうした情勢をしかと踏まえるならば、民進党は連合との関係を断つくらいの改革をやるべきである。連合の庇護のもとから抜け出し、左にシフトして、新しい労働者層を作り出していくしかない。共産党も然りである。孤高超然から普通の人間が身近に感じられる政党に脱皮すべきである。また政党助成金も受けるべきだ。支持層の窮乏は想像以上であり、そこからのカンパは限界にきている。公明に抗する最後の組織として、もっと大胆に変貌してほしい。
 最後に、東京選挙区の三宅洋平は次回に再挑戦だ。そして、老兵は消え去るのみ、か。

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