女たちよ、草津女性町議排除に立ち向かえ!

 女性の政治参加を気軽に口にしていたが、立ちはだかる壁の厚さは想像以上だった。反省しきりで、逃げ切れるほど甘いものではない。そんな罪深さを象徴する事件が起きている。

「草津よいとこ、一度はおいで」。あの群馬県草津町で19年11月、町長からの性被害を告発した新井祥子町議がリコールの対象となり、失職となった。追い打ちをかけるようにリコール無効の申し立て訴訟は6月9日、東京高裁で棄却されてしまった。

 ことの成り行きはこうである。告発を受けた黒岩信忠町長はすぐに反撃に出た。新井議員を名誉棄損で刑事と民事で訴え、まるでこちらがはめられたと主張し、草津町議会もこれに同調して議員12名のうち10名が賛成して、議員除名処分とした。これは新井議員が除名処分を不服として、群馬県知事に不服申し立てを提出、20年8月に除名が取り消され、復帰した。これに対して、町議会議長が「町民として承服できない」として、リコールの署名運動の先頭に立つ。草津町の有権者は5000人、署名はすぐに3分の1を超え、住民投票へと進んだ。12月6日の投票は9割以上の賛成2542票で、新井議員は解職となった。

 この展開からすぐに想像できるように、小さな温泉町の政治風土は日本ローカルの典型でもある。町長はプロパン会社の経営者で2期目、議員の多くは旅館、ホテルの経営者、いわば利害関係と血縁地縁でがんじがらめ、同調せざるを得ない。「新井議員をリコールに!」のポスターが張りめぐらされ、街宣車も出ている。議会では、町長が町長室のパネル写真を持ち出し、「どこで私にいかがわしい行為をさせられたのか答えてください」と迫り、新井議員が「裁判で明らかにします」というと、執拗に「答えなさいよ。私に犯された女性ならば、とてもここにいられない。その神経がわからない」と責め立てている。議員たちは「(セクハラ告発は)町議会にも、町民にとっても、対外的にも非常に迷惑」と攻撃し、「日本は法治国家です」と繰り返し、リコールの正当性を訴えた。権力に歯向かえば、こんなことになるのだという見せしめであり、文字通りのセカンドレイプである。

 このまま新井議員を孤立無援にすれば、一切なかったことになる。性被害の挙証責任は被害者にあるということになれば、誰も性被害の声を挙げることはできない。性暴力の向き合い方をこの草津で誤れば、取り返しがつかないほど、人権問題は後退してしまう。女たちよ、いま立ち上がらなくてどうするのだ。与野党を問わず、全国の女性議員は声を挙げなければならない。草津おんな一揆である。

 これに限らず、票ハラスメントは女性の政治進出の大きな障害になっている。「お前そんな程度で議員としてやっていけんの?」。支援していますと近寄ってきて、ちょっとその支援者と違うことをいうと、すぐに豹変して「お前はダメな奴だ」となる。政治領域は男のものだという思い込みであり、男に潜むミソジニーだ。20~30代の女性議員の35%が2期目の出馬を断念していることがその底深さを物語っている。

 新井さんは「町に住み続けて、ことを明らかにする必要と責任を感じています」といっている。全国フェミニスト議員連盟も支援に立ち上がっている。

 

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