砺波市議選に友人が

前回、韓国大統領選に言及したが、この一連の動きに安倍政権では全く対応できないのではないか。昨年末から繰り広げられた「朴政権退陣非常国民行動」(ろうそく集会)は韓国の民主主義レベルが格段に進んだことを明らかにしている。ソウルの寒さを知る者として100万人を超えるデモ参加者があり、すべてのビルのトイレがデモ参加者に解放されていることを聞いて、彼我の差に愕然とさせられた。東京マラソンみたいに膨大な予算を使ってのイベントではない。多様な市民の声、多様なアイデンティティ、多様なグループがひとつになる市庁前広場が用意され、そこが共感の場になる演出が1500余りの団体でなされたのである。密室の政党政治を拒否する市民の新しい政治参加の方法として、この「広場政治」が出現したといっていい。幼い子供連れ、家族、労働者、学生、高校生、恋人たち、更に外国人観光客など多種多様な参加者が集まり、怒りを希望、喜び、連帯に転換させる共感の政治がデモに参加して体験されていく。市民が自由に発言できる<市民発言台>が用意され、3分間以内で誰でも発言でき、あちこちに設置された大型スクリーンに映し出される。無料コーヒー、トッポッキやおでんの屋台などまるでお祭りの雰囲気で、終わればボランティア・メンバーがごみを分別回収している。市民は餅でも食べながら黙って見物していろ、という劇場政治を終わらせようと意図と意識が明確になっている。
 朴槿恵政権は、セウォル号惨事に代表されるように国民の命に対する無責任な体質は隠しようがなかった。加えて、自らの利益に反したり、批判する勢力を排除する動きを徹底的にかつ残忍に行った。北朝鮮への態度も金体制を事実上否定し、崩壊を誘発する発言を繰り返し、一触即発まで追い込んでいた。そして今回の崔順実ゲート事件でこれ以上見過ごせないとなって、市民は蜂起した。弾劾案は国会議員299人中234人が賛成し、市民政治が政党政治を圧倒したといっていい。
 大統領選は故・盧武鉉元大統領の側近であった文在寅が有力とされている。慰安婦像にマフラーを掛けている写真が印象的だが、韓国世論を背景に日韓合意はそのままとはいかない。一時帰国している長峰大使らの帰任は官邸が国民は納得しないと難色を示しているというが、上から目線外交では解決できない。トランプ政権となって北へは武力行使も選択肢として、迎撃ミサイルサードの韓国配備を強硬に米側から要請されているが、北との対話路線を視野にいれているとすれば簡単に受け入れるわけにはいかない。偶発であれ武力行使でソウルが戦火に巻き込まれるリスクはどんなことがあっても避けねばならない。学生運動家でもあったので価値判断はぶれないだろう。中国へも難しい。しかし、市民を味方にして文在寅は乗り切っていくだろう。
 さて、予見できる東アジア情勢に対して安倍政権はどうできるのか。恐らく選択肢は日米韓で歩調が揃わないのであれば、トランプと心中するつもりで日米だけで中国、北朝鮮の脅威に対処するしかないということ。になろう。サードは日本で受け入れればいいといいだしかねない。夫妻で続けてきた地球俯瞰外交は教育勅語の枠を出ることはない、と外国特派員協会メンバーは森友事件でわかってきている。もうそろそろ、我々も韓国にならって市民の広場政治を試みてもいいのではないだろうか。
 そんなところにビッグニュースが飛び込んできた。富山・砺波市議選にわが友・宝田実君が出馬することになった。定員18人に立候補予定18人と無投票が予定される中で、砺波青年会議所が呼び掛けた公開討論会に議会側は全会一致で不参加を決めたのだ。これを知って宝田君の怒りに火が付いた。敢然と名乗りを挙げたのである。55歳の文字通り徒手空拳で孤立無援。こちらは勝手連だ。4月16日が投票日、続報するのでよろしく!

© 2024 ゆずりは通信