わがブログのアクセスが異常に反応する時がある。グーグルのアナリティクスが上振れし、何が起きたのかを推測することになる。俵万智にちなむ「弟の結婚」が通常の4倍となったのが3月末日。同月20日に放送されたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ」が原因である。主人公の貴司が3冊目となる歌集を出すことになる筋書きだが、このドラマのファンでもある歌人の俵万智がツイッターで「貴司くん、無理せんでええよ」とエールを送ったことで反応したらしい。
ガンダムの人形ねだる弟は十歳下にして小学生。ひげづらの高校生となりにけり荻野目洋子ファンの弟。「いい感じの彼女ね」と言い「そう言ってくれると僕も嬉しい」と言い。ためらわず妻の名前を呼び捨てる弟に流れはじめる時間(現代俳句2017年1月号から)。何を書いていたっけ、と6年ぶりに再度鑑賞することになった。俵短歌が色褪せてないことに感心した。アナリティクスのお陰だ。
ところが3月3日大江健三郎の逝去の報に、02年3月に綴った「三条高校生よ、講演会ボイコットを」が急上昇した。同年1月末に新潟日報が報じた「校長注文に失望。大江健三郎さん一転辞退」を読んで書き込んだものだが、読み返しても我ながら小気味いいブログである。校長の注文は「講演集を読ませていただきましたが、政治的なご発言に少し気がかりを感じました。講演を聞くのは未成熟で無垢な高校生であります。私は校長として赴任以来、きちんとした教育方針のもとで、君が代も歌うし、日の丸も掲揚させてきました。創立100周年記念講演会の当日もやります。そこでお願いですが、講演においては政治的な話題についてはご配慮をいただきたいのです」。すぐに思い起こしたのは「悪の凡庸」に連なる校長だということ。生徒を戦場に送る徴兵制にも賛成しかねない。その講演会をボイコットして、生徒会主催の自主講演会を開き、大江さんを改めて招くべきだとけしかけた。前年の01年6月3日、入善コスモホールで、大江健三郎の講演と光君の演奏会を開いていた。入善町出身の芥川賞作家・柏原兵三と大江が大学で机を並べていた縁でお願いしたところ、快諾してもらった経緯がある。宇奈月温泉での宿泊だったが、どこにでもいる父子の和やかさに癒された。
わがブログも老いの一徹で、惰性で駄文を連ねているのだが、アナリティクスはいい意味で励みになる。アクセスの最も多いのが「飛鳥へ、まだ見ぬ子へ」で、自分でも意外である。04年12月6日金沢美大図書室の新聞コーナーで、毎日新聞社会面に「“まだ見ぬ子”来春結婚」という見出しに驚き、綴ったのだが、アナリティクスに絶えず上位に表示される。誰がどんなきっかけで読むのか不思議でならない。次いで多いのが「闇社会・京都の影」。これもどんなキーワードで検索されるのか、理解の他である。