自己犠牲

政治が変わるとしたら、年金解散しかない。こうなれば衆参同日選挙でもいい。年金問題だけで国民に信を問う。ここは小泉さんよ、売られた喧嘩は買ってほしい。飯島秘書官の浅はかなシナリオに乗って北朝鮮へ行ったのだから、軽佻浮薄首相の本領発揮でいいではないか。選挙民よ、ここは長考一番、わが国の行く末を真剣に考えよう。何も小さな利益誘導にまどわされることはない、年金一本なのだから。公明党を支持される創価学会のみなさんも、公明党三役の年金不納問題もありここは自重して、自らの良心に従って投票をお願いしたい。昔の公明党は胡散臭さもあったが、平和を、庶民のこともよく考え、松本清張の肝いりで共産党との連携も視野に入れていたこともある。初心に帰るべきである。
 韓国は先の総選挙で7割の国会議員が入れ替わった。そして、わが隣人は何か突き抜けた。こんなニュースである。済州島四・三事件という3万人が殺されたともいわれる忌まわしい事件がある。1948年のこと。戦前は日本の手先となり、戦後はアメリカの手先となった反共テロ集団が、あの小さな島で同民族を殺し尽くしたのである。この事件を韓国歴代の大統領は誰も触れてこなかった。ところが、今年の集会に参加した盧大統領は初めて国家犯罪と認め、謝罪したという。「火山島」全7巻でこの事件を小説化した金石範は、これでようやく胸のつかえがおり、韓国も変わるかもしれないと思ったという。靖国問題でまだうろうろしている世代では、新しい韓国と付き合えないのは明白。年金問題は格好のリトマス試験紙である。この国のかたち、何よりもわれわれ一人ひとりの生き方、それを問うてみようではないか。
 次に、ここが肝心なところ、よく聞いてほしい。年金逃げ切り世代といわれるわが世代は、選挙前にこれだけは断言しておく。金子勝慶応大学教授に代弁してもらう。「われらの世代が、官僚にせよ、政治家にせよ、年金の運用先の特殊法人で大量の不良債権を出した。加えて、官僚の天下りで多額の年金資産を食い潰した。これらをわれらが負うべき負債として、自分達で解決していきます。新しい世代には、新しい年金制度を適用していただきたい」。ようやくにして、後ろめたさも払拭されるというものだ。
 現法案を通してはならない。まず、年金の基本理念を、システムをしっかり論議して詰めることが先決。その移行段階での現実処理を10年ぐらいかけてやればいい。その痛みはわが世代が負う。新年金制度適用は次なる世代からだ。これならわが愚息たちの「断崖の世代」も文句はないだろう。
 晴れてばらそう。年金制度を初めて導入した1941年当時の故花沢武夫厚生省年金課長はこういっているそうだ。「厚生年金保険基金の理事長となれば、日銀の総裁ぐらいの力がある。もう厚生省OBの勤め口に困らないのだ。年金を払うのは先だから、いまのうちどんどん使っても構わない」。それが今に続き、年金関連の合計95の独立行政法人や公益法人での役員を務めた厚労省OBは104人に上り、総額で10億3500万円の役員報酬が支払われ、天下った官僚は2400人以上。その人件費は年間1800億円。もっと深刻なのが148兆円ある積立金の3分の2が道路公団など特殊法人で運用されており、相当額が不良債権化していること。
 とほほ、ということは、わが世代は年金がゼロということになるのか、金子教授よ。まあ、いいか。その方が余程すっきりと気持ちがいいというものだ。しかし逃がしてはならないのが、口をつぐんでいる現国会議員だ。政治家個人が正直か不正直か、誠実か不誠実か、それだけで選別するのもいい。
 さて、次なる世代諸君よ。ありがとうだけで済ませることはないだろうな。こちらからいうのもなんだが、こんな粋な計らいはどうだろう。カジノ特区、性解放特区法案を同時に可決、その運用利益をゼロ年金者に与えるというもの。これなら、わが世代は納得すると思う。でもこれだと、自己犠牲にならないか。

© 2020 ゆずりは通信