サンデー毎日

 もし、編集長の立ち場であれば、どうしているだろう。売上部数は減り続け、ライバルでもあった週刊朝日は23年5月30号で休刊となっている。いつ止めを刺されても不思議ではない。追い詰められる編集長か。そんな思いが、売り棚に並んだサンデー毎日を手にしてよぎった。創刊102周年3月23日号、東大合格者ランキング特集で「超速報!1人まで掲載」と銘打っている。

 週刊誌を買うのは数年ぶりだろう。400円くらいかと思って500円玉を用意していたが、770円と聞いて驚いた。表紙裏の広告が予備校の「駿台」で、妙に納得する。そういえば高校同期2人が一浪して駿台で鍛えられ、東大切符を手にして、それぞれ日銀、ゼネコンの鹿島でそれなりのポストを得ている。

 ともあれ東大合格号は通常号より倍近く売れ、ドル箱となっている。スタートとなったのが49年の蛍雪時代で、東大自身が合格者の氏名、出身校を発表している。これが75年まで続き、朝日、毎日、読売などの大手紙がランキングを載せ、地方紙では合格者と出身校を載せていた。76年、文部省が受験競争を煽るとして、出身校名公表の中止を求め、大学も非公表とした。しかし、読者のニーズが高く、辞めるわけにはいかない。東大受験者リストを作り、出身校を割り出していく。サンデー毎日では専任デスクが1人にアルバイトが2人、年明けにはアルバイト80人以上とし、発表直前には貸フトンを持ち込んでの徹夜作業で取り組んだ。サンデー毎日ブランドの自負でもある。それが2000年以降、受験番号のみで氏名が非公表となる。個人情報保護法の審議が進むのと軌を一にしている。しかし、抗する動きとして、高校側が東大合格者数こそ優劣の物差しとして、アンケート調査に応じてくれることになる。加えて、石原慎太郎都知事や橋下徹府知事が難関大学合格の目標値を公立高校に求めたことも大きい。しかし、いつまでも合格ランキングに頼ってばかりというわけにはいかない。

 サンデー毎日のコラム執筆者は五木寛之、高村薫、青木理、高橋源一郎と多彩である。藤後野里子・編集長の頑張りも見えてくるが、閉店を決めた東京の書店経営者の嘆きが絶望的に響く。「定期的な来客が見込める雑誌の売り上げが壊滅的に減ったことが響いた」。

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