師走断想
2017/7/23
何したというわけでもないが、もう師走である。●あわただしさが増したような富山駅前。タクシー値上げの余波か。料金を据え置いた愛交通だけがピストン輸送の状況を呈している。最大手富タク傘下に入った電タクが、 ...
荒地の恋
2017/7/23
「あなた、わたしを生きなかったわね」。「そう、俺は君を生きなかった。だから罰は惨(むご)い方がいい。君を生き直すことはもうできないのだから。俺は君を捨てたのだから」。詩人は、このフレーズのために身の破 ...
私の祖国は世界
2017/7/23
「私は、旅のしかたも分らないまま、『人生の同行者』小田実に連れられて多くの見知らぬ土地を旅してきました。その旅には、さまざまな異国の珍しい文物とともに、思いがけない人々との出会いがありました。小田は『 ...
ミソジニー
2017/7/23
果たして、紀伊國屋文化が富山に根付くのか。64年、新宿・柏木(旧地名)の下宿で学生生活を始めたが、大学へ行くよりも新宿の紀伊國屋書店へ通う日の方が多かった。何階のどこに、どんな分野の本があるのか頭に入 ...
カチンの森
2017/7/23
東欧の現代史をテーマに2本の映画が封切られる。「カチン」と「君の涙 ドナウに流れ」。ポーランドとハンガリーのスターリン体制化での悲劇を取り上げたものだが、興味深い。富山でいつ見ることができるのか、DV ...
「シッコ」
2017/7/23
国民皆保険の利点は十分に分かりながら、診療点数にしばられた医療だけでいいのか、医師や患者にもっと裁量権があっていいのでは、という疑問を持ち続けている。その対極にあるのが自由診療。患者と医師の判断で、そ ...
「瓜谷長造伝」
2017/7/23
うれしい話である。10月4日朝、最近の日経は終面の「私の履歴書・青木昌彦」から目を通しているのだが、何気なく見た1面の書籍広告だ。3段8つ割という小さなものだが、「大連に夢を託した男 瓜谷長造」とある ...
「等類」と「同巣」
2017/7/23
秋は俳句大会の季節といっていい。ここぞとばかりに秀句、好句が膨大に寄せられる。その選句の困難さ、難儀さは想像を絶するほどで、神経を極端に磨り減らす作業である。五七五、たった17文字の詩型の宿命といえる ...
スズメバチ
2017/7/23
頂門の一針とはこのことか。9月16日午後、開けっ放しにしておいた玄関から侵入したのだろうか。重なった障子の間に押し込められて、高い羽音を響かせていた。てっきり虻くらいだろうと思い、そこにあったティッシ ...
梶山季之「族譜」
2017/8/3
植民地2世作家という呼び方がある。朝鮮、台湾、南樺太などで生まれ、引き揚げてきた作家達で、70年代前後に花開いた。古山高麗雄、五木寛之もそうだが、梶山季之もそのひとりであった。彼の父は朝鮮総督府の高官 ...