トリアージ
2017/7/20
その人の右手首には黒ラベルのタッグが巻きつけられていたはずである。4月25日午前9時過ぎ、その人は大阪の病院に持病の治療に出かけるといって乗り合わせたのがあの列車だった。胸騒ぎがした奥さんは、まず大阪 ...
こんな夜更けにバナナかよ
2017/7/20
介護及び介助概念をわれわれは一変させなければならない。 鹿野靖明は小学校6年の時に進行性筋ジストロフィと告げられた。効果的な治療法はなく全身の筋肉が徐々に衰えていく難病である。中学・高校と養護学校で ...
未完の国鉄改革
2017/7/20
75年前後のことだ。確か代々木公園での国際反戦デー全国統一行動日だったと思う。総評を中心にした労働運動がまだまだ盛んで、その時も各単産が全国動員を掛けていた。退屈な演説が続き、会場がだらけ気味になった ...
「無慚無愧」
2017/7/20
4歳の時に、実の母親は旅役者と駆け落ちをし、家を出た。一人残された男の子は、作家となって母親像を追い求める。それは母である聖性だけではない、女の凄まじい愛欲地獄をのぞくことでもあった。4月20日未明、 ...
指定管理者制度
2017/8/3
利用する県総合体育センターも指定管理者制度の予定施設となっている。ご存じと思うが、公園や文化ホールなど公共施設の管理運営が、民間企業やNPO法人でも引き受けれるようになった。コスト削減やサービス向上、 ...
両親に歌う子守唄
2017/7/20
作家の佐江衆一が「黄落」(こうらく)で老老介護の凄絶さを世に問うたのは10年前。夫たる<私>59歳から見えてきた家族の亀裂を綴っている。小説とあるが自らの体験でもある。夫婦、親子、兄弟姉妹関係がズタズ ...
感じない男
2017/7/20
僕は不感症だ!とカミングアウトし、自分の性を赤裸々に一人称で語る森岡正博の本が版を重ねている。「感じない男」(ちくま新書680円)。1958年生まれだから47歳、しかも生命学、哲学を生業とする教授だ。 ...
光クラブ事件
2017/7/20
昭和24年11月25日、東大法学部の現役学生にして、ヤミ金融会社「光クラブ」の社長が自殺した。銀座にあったオフィスの社長室で青酸カリをあおった。机の上には額縁に入った自らの写真を飾り、香を部屋いっぱい ...
「蒼蠅」熊谷守一
2017/7/20
無欲恬淡(てんたん)、天真爛漫が絵を描く。「下手な絵も認めよ」「紙でもキャンバスでも何も描かない白いままが一番美しい」といい、昭和天皇がその絵を見て「子供の絵か」と尋ね、説明役の宮本三郎が「七十いくつ ...
今生のいまが倖せ・・
2017/7/20
今生のいまが倖せ衣被(こんじょうの いまがしあわせ きぬかつぎ)と続く。衣被とはサトイモのことで秋の季語。ご存じ鈴木真砂女の句だ。逝ったのは平成15年3月14日、享年96歳。娘の本山可久子が母真砂女へ ...