「日本の人類学」
2018/2/6
ものごとの真贋を見定めるには、人類学の視点が欠かせない。そう思えてきたのは、山極寿一・京都大学総長の存在が大きい。戦後生まれの初めての総長で65歳。ゴリラから人類や文明の起源を探っている霊長類学者だ ...
60年安保世代逝く
2018/1/23
西部邁が1月21日多摩川に入水した。78歳の自死である。不思議な縁というべきか、たまたま佐野眞一の「唐牛伝」(小学館)を読んでいた。60年安保の全学連委員長・唐牛健太郎の足跡を辿るルポで、随所に西部 ...
「若狭ものがたり」
2018/1/16
04年に亡くなった作家・水上勉の名で17年3月に出版された。副題が「わが原発撰抄」となっていて、「水上さんが存命なら日本のこの状況を何と書くでしょう」と詩人の正津勉がまとめ、初めて聞く版元アーツアン ...
黒部宇奈月温泉駅
2018/1/8
1月3日午後、東京から帰省の次男一家を送るため黒部宇奈月温泉駅に向かった。北陸新幹線開業後初めてのことで、どんな駅仕様になっているか興味もあったので、ゆとりを持って到着した。結論からいえば、借りてき ...
「三里塚のイカロス」
2018/1/1
沖縄・辺野古を三里塚の二の舞にしない。賛成派にも、反対派にもこうした思いが浸透していると沖縄の新聞は伝える。辺野古移転に向けて、国家権力はすべての手段を投入している。そこに容赦はなく、図式はそっくり ...
『最後の「天朝」』
2017/12/26
中国の歴史家が手に入る各国の一次資料ふんだんに使って、毛沢東―金日成時代の中朝関係を描いた大著である。『最後の「天朝」』。著者は1950年北京生まれの沈志華で、朱建栄・東洋学園教授が1年かけて翻訳し ...
南京虐殺と「時間」
2017/12/17
12月13日、中国と日本の双方で南京事件をめぐる集会が開かれた。日中戦争のさなかに起きた旧日本軍による南京事件からちょうど80年になる日である。中国のそれは南京市にある「南京大虐殺記念館」で習国家主 ...
生きる処方箋
2017/12/12
酒席を共にした青年は24歳。気立てのいい好青年で、来年3月に子供ができる。専門学校を出たが、就職でつまずいている。性格は社交的で、接客業に向いていると思っていたのだが、親戚筋の下請け製造業に勤めた。 ...
山崎豊子と<男>たち
2017/12/1
「白い巨塔」の医師・財前五郎、「華麗なる一族」の頭取・万俵大介、「不毛地帯」のシベリア帰りの商社マン・壹岐正、「大地の子」の残留孤児・陸一心、「運命の人」の新聞記者・弓成亮太。すべてが女流作家・山崎 ...
広辞苑 第7版
2017/11/27
大廈(たいか)の顛(たお)れんとするは一木の支うる所にあらず 。大きな建造物が倒れようとしているのを、一本の木でもって支えることはできない。こんなことわざを思い出しつつ、岩波書店の広辞苑第7版の発売 ...