7月13日参院選たけなわというところ。知人から参政党街宣のカウンター行動に誘われた。午後7時、富山駅前広場に参政党富山選挙区の田保ともよ候補の街宣車が到着した。手際よく、演説環境を整え、候補者にマイクを渡した。聴衆は若い二人だけで何とも寂しい。カウンターは総勢7人でそれぞれにプラカードを手にしている。やりにくそうな表情ながら、意を決するように話し出した。
第一声が「選挙妨害です。そこから動かないでください。いま警察を呼びますから」。緊張した声で、こんな脅すような警告を発してきた。思い出したのが、安倍晋三の札幌街宣でヤジを飛ばし、警察に会場から連れ出された一件。「安倍、帰れ」のヤジは表現の自由の範囲内。「さあ、討論しましょう」くらいの余裕と挑発があってもいい、と内心で思っていた。
おもむろに「日本人ファースト」と枕詞に、子ども大切に、米こそ食糧防衛保障と並べていくが、ヘイトまで刺激する内容に踏み込んでこない。警察が来る気配もなく、30分足らずで、スゴスゴと退散してしまった。
このカウンター行動に参加した自分なりの思いがあった。候補者の田保は20歳年下だが新湊小の後輩にあたる。市立西部中学を出て、新湊高校を卒業、金沢美術工芸大学デザイン科に学び、東京の広告制作会社に勤務し、24年末に新湊に戻った。彼女の実家は私が育った新富町の引き揚げ者住宅から、それ程離れていない。その彼女がどういう経緯をたどり、参政党にたどり着いたのか、興味深い。結果論だが、田保の6万票獲得が無ければ、自民の敗北とはならなかったのは事実だ。
ここにきて、大躍進した参政党の実像がようやくわかりかけてきた。全選挙区に候補者を立てるだけの陣容で、党員は8万人という。富山支部は500人前後であろうか。今年25年4月の富山市議選で金山あかね(45)が3510票、第6位で当選している。候補者は支部の投票で決めるという。田保は富山市議選で金山候補にずっと付き添っているように見えた。支部ではそれなりのポストだったのだろう。同じ新湊つながりからいえば、海老克昌・参政党富山支部長かとも想像する。50歳後半での政界参入だが、活動費支給という勘繰りも思い浮かぶ。射水市議選も視野かも知れない。この党から抜けては生活が覚束ない状況だ。やっかいな存在であることは間違いない。
しかし、この勢力の増長を見逃していい訳はない。