持ち家を取得して、これで“上がり”と思ってはいけない。更なる2番天井、3番天井があるのを覚悟すべき時代らしい。らしい、というのは楽観に過ぎない。人生100年を視野に入れる超高齢化社会の到来は、確実に住まい方も大きく変わることになる。2015年には、566万世帯が一人暮らし、これに要介護が450万人となる予測が加わる。つまり、持ち家にひとりで住めなくなるのだ。また、夫婦のみ世帯も614万となるが、待っているのは老老介護。こんな高齢世帯が全体の67%も占めるようになるという予測だ。
手っ取り早く有料老人ホームとなるが、これが総量規制で簡単に作れなくなっている。そこで政策誘導である。高齢者住居安定法であり、高齢者専用賃貸住宅(高専賃)の促進と相成った。
未踏の社会はこれからが本番、と講演するのは評論家・樋口恵子。そういえば、前回の都知事選に立候補し、石原慎太郎に大敗してしまったのだ、とそんな記憶もよみがえった。75歳の彼女は、怯むことなく、好奇心は失っていない。100歳まで生きて、この変動きわまりない社会の行く末を見届けるつもりでいる。独身の娘と同居しているが、現在の持ち家を持ちながら、高専賃の好物件も狙っているという。
これは聞くべきだ、と嗅覚が反応した。学研が主催する高齢者住宅セミナー。少子化で苦戦の教育産業から、高齢者対応の住宅ソフト産業へ、懸命の事業転換を図っている。終身建物賃貸借契約が目を引いた。借家人が生きている限り継続し、死んだ時に契約が終了するシステム。2月28日、東急目黒線不動駅下車、学研第3ビル。定員50名だが、80名が押しかけた。樋口恵子は元・学研社員、そんな関係もあり、この住宅プロジェクトを陰ながら支援している。
昨年3月に完成させたのが、東京・南千束のココファンレイクヒルズ。終身にわたり安心して暮せると銘打ち、次の機能を持つ。「通う」つまりデイケア、「泊まる」つまりショートステイ、「訪問する」訪問介護看護、「住む」つまり高専賃7室。この7室への申し込みが400組(夫婦)・人だった。すべて面接して情報を集め、分析し、次に生かそうとしている。因みにワンルームで、賃料165,000円、共益費24,000円、夜間パトロール、ゴミだしなどのサービス費24,000円。近隣の家賃より35%高い。一人だけ終身建物賃貸借契約をしている。80歳の女性で、26,681,000円を支払った。ほぼ161か月分だから13年余、この間の契約更新は不要となる。94歳まで生きてトントン、それ以上なら彼女の利益だ。
このモデルを引っさげて、学研は高専賃のオーナーを求めている。50居室以上で、1階に学研のデイケア、訪問介護、在宅療養支援診療所などがテナントして入居する。管理運営一括借り上げで、家賃を保証するシステム。オーナーへの利回りを12%前後としている。さて、どうだろうか。
しかし、この高専賃も2番天井としての住まい。というのも、介護度2.2までしか想定していない。それを超えると3番天井の住まいへと移らなければならない。それは施設にほかならない。超高齢社会は、特に貧しいものに決してバラ色ではない。若者の働く格差が、高齢者の住まい格差につながっている。
ナラティブホームは、この課題に志高い理念で挑戦しようというもの。注目してもらいたい。
さて、余談ながらここだけの話。福岡・博多に「女性専用ホストソープランド」がオープンした。ラウンジコーナーで、ホストと“お見合い”して、好みのタイプを選び、風呂場にはいる。どんなサービスかわからないが、90分3万円。毎日新聞夕刊で牧太郎が書いている。ひとり住まいでも、生涯独身が増えている。その対策かもしれないと邪推しているが、ちょっと覗いて見たいものだ。
また映画「不都合な真実」も見たのだが、不覚にも前半眠ってしまった。
高専賃