若き珍客
2017/7/24
知床・羅臼ではよくあることらしい。昆布採りの番屋から人が飛び出してきて、道路をふさぐように両手をひろげる。車は驚いてブレーキを踏む。「時間があるなら、昆布干し作業を手伝ってくれないか」と大声で呼びかけ ...
炎の人
2017/7/24
思えば絵を買うことなんて、ちょっと想像できない生活をおくっている。ところが、ゴッホの絵を買おうともしなかった、と厳しく咎め立てるセリフに出会った。「あなたが生きている間に 一枚の絵も買おうとしなかった ...
絶望を突き抜けて
2017/7/24
「日本と世界はこれから長いトンネルに入っていく。そして、そのトンネルを抜けたとき、のどかでうららかな世界ではなく、これまで見たことのない荒涼たる世界が広がっているのではないか」。いまは作家活動が中心だ ...
秋の余話
2017/7/24
秋の夜に篠笛が吹きわたる。初めて笛の音に心驚かされたのが、金沢・東茶屋街にある「志摩」の茶室であった。BGMで流されているのだが、飽きることがない。係りの人に、曲名は何か、CDを求めたいと聞くのだが、 ...
サハリンのコリアン
2017/7/24
稚内から宗谷海峡を約40キロ隔ててサハリンがある。ぱしふぃっくびいなす号がコルサコフ港に上陸したのが8月21日。この島に上陸する資格があるのかどうか、しかもこんな豪華客船でというためらいである。第一印 ...
「さすらいの舞姫」
2017/7/24
韓半島の近現代史の激動に、まるで身を投じるように生まれたバレリーナがいた。日韓併合の翌年1911年生まれの崔承喜(チェ・スンヒ)で、京城(ソウル)の両班の家柄だった。没落貴族のプライドは日本憎しだが、 ...
「キャタピラー」
2017/7/24
8月15日を墓参り以外に、どう過ごすか。そんなこだわりがある世代なのである。映画「キャタピラー」を見て、わが贖罪とするという陳腐な論理で、27歳の三男といっしょに出かけることにした。第60回ベルリン国 ...
急がば回れ!
2017/7/24
社会福祉士を目指している学生から、相談を受けた。地元国立大学人間発達学部4年生の好青年だ。「バドミントンに全精力を傾けてきました。これまでの人脈を活かしながら、福祉の世界で活動をしたい」と歯切れがいい ...
三浦哲郎の歳月
2017/7/24
東北の小さな温泉宿で、若い男女が結ばれる。寒い夜は何にもまとわない方が温かいのだと声をかける「私」に、志乃は素直にしたがって、白い身体を蒲団にすべらせる。こんな書きぶりに、胸をとどろかせていた青春の日 ...
未完絶筆 良寛
2017/8/2
貧困も、格差も、こんな視点から眺めてみれば、取るに足らない。何をそれほど思い悩むのか、となる。絶筆にして未完の「良寛」は、干からびた心もちに染み渡るようであった。亡き立松和平の生真面目さが笑顔で語りか ...