聖路加病院名誉院長・日野原さん

この人の生活ぶりを知ると驚きを通り越して、呆れてしまう。1日の睡眠時間は5時間を超えることはなく、締め切りを過ぎた20枚前後の原稿を書くのに徹夜することも月に2~3回ある。徹夜をすれば睡眠時間がゼロとなるだけのこと。翌日埋め合わせすることもない。そのまま翌日の夜12時過ぎまでつまり43時間くらいぶっ通しで仕事をすることも。海外旅行で時差を感じることもなく、階段を2―3階上がる時は2段飛びで駆け上がる。職業は医師で、外来診療も回診もこなし、週末は遠方も厭わず講演を2~3回。

日野原重明さん。明治44年生まれの89歳。聖路加国際病院名誉院長。そして9月末に「新老人運動」を旗揚げした。入会資格が、心身ともに健康で、現在なお現役で75歳以上。ことし75歳を迎える人は敗戦時20歳。男子はほとんどが招集され、幸運にも戦死を免れた人たち。女子は戦時下、貧しい食糧事情に家族を支えることに辛酸をなめた人たち。日本に第2次世界大戦が何をもたらしたか、を体で理解している。これを生きた語り部として、若い世代に何かのメッセージを伝えること。そして自らの健康資料や、生活習慣のデータを提供するボランティアとして、これからの高齢化社会の指針作りに役立てようという。これを使命としての発足。しかしこればかりだけではない。第3の人生をまだ生きよう、という貪欲さも。現在会員は東京中心に300人を超えている。

この日野原さんに、一度富山で講演をしてもらったことがある。確か県立中央病院に公立では初めて終末医療病棟を開設したのを機会にだった。第一印象。理想は理想としての現実主義者だな、と思った。できない口実を見つける前に、出来ることをやってしまう人。そして聖路加のそばに、1億円のコンドミニアムが売り出され、即日完売したと聞いてなるほどと。稼ぐ術も現実的にやる。そこでは聖路加の保険水準を超えた医療が受けられ、人生の最期も温かい食事が食べられる。大学の恩師もそこをの住み処で購入した。保険診療の枠内ということで、一律平等という大義名分に、死の床にあっても冷たい食事が供され、看護婦不足の現実を目の前に、最期の時も遠慮してナースコールを押しかねる医療の現実がある。また保険点数なるものが、いかに医療の進歩を阻んでいることか。それを乗り越えて走っているのが日野原さんかな、と思っている。

教育改革もそうだが、医療改革も焦眉の急なのだが。森さん、いや加藤さんなのかな。

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