物心ついて初めて見た映画が「笛吹童子」。手に10円玉を握り締めて友達誘い合わせて。その主人公であった東千代之介が逝った。その前のもっと幼い頃が巡回映画。神社の境内で、樹木か、鳥居にしばりつけられたスクリーンの後ろも前も人だかりだった。記憶にあるのは美空ひばりの「越後獅子」だったように思う。父親にたまに連れていってもらったのが「鞍馬天狗」。育った新湊には北陸劇場、新湊劇場、日吉館の3館もあり、いつも満員の盛況であった。小学校1年生の同級生の父親が日吉館の映写技師で、森永キャラメルを貰い「ターザン」を見せてもらった。とても羨ましかった。5年生の時、学校から北陸劇場に出かけ見たのが「ノンちゃん雲に乗る」。鰐淵晴子のまぶしかったこと。
そんな記憶を辿っていると、わが映画ベストテンを挙げてみたらどうなるだろうかと思い巡らしてみた。
真っ先が?「ドクトルジバゴ」。はじめてロシア革命の背後にあるものに、スターリンの粛清の現実に初めて触れた。次が?「日本の夜と霧」。大島渚だが、日本の支配層のうごめきなるものに唸った。そして中国映画?「芙蓉鎮」。3時間以上の大作。私の顔形が監督の謝普に似ているといわれる。文化大革命の真相を丹念に。批判され追放された主人公の若者が、箒でいつまでも路地を掃き続けるシーンが忘れられない。神田神保町の岩波ビルでみた。これがベスト3。
このあとに?「人間の条件」。これは池袋・人世座。パンをかじりながらの9時間に及ぶ徹夜上映。?「仁義なき戦い」深作欣二のリアルな映像とスピード感に打ちのめされる。?「フーテンの寅さん」ご存知山田洋次。インテリを皮肉っているところで笑い転げる。?「生きる」黒沢明で、最後にゴンドラの唄を歌いながらのブランコのシーンが忘れられない。笠智衆だったかな。?「誰のために鐘が鳴る」スペイン内乱がはじめて理解できた。そして坊主頭のイングリッド・バーグマンの可愛いこと。?「ローマの休日」何といってへプバーンの美しさ、可憐さ。?「ウエストサイド物語」アメリカブロードウエイミュージカルに初めて出会った新鮮さ。
ちょっとレベルが低すぎるか。