石川県を拠点とする北國銀行の持ち株会社が10月1日、社名を変更した。「北國フィナンシャルホールディング」を「CCIグループ」にして、北國の冠を取っ払ってしまった。CCIとはコミュニケーション、コラボレーション、イノベーション。地域性や金融色を薄めて、新事業に果敢に取り組む意気込みらしい。といっても、コンサルティング、投資ファンドだが、そう簡単に人材がいるわけでもなく、育成に時間を掛ける余裕もない。また商社を立ち上げ、地元企業の商品開発、マーケティング、ネット販売など手がけていく。これは日常作業の延長でもあり、うまくいくケースは多いと思う。
地銀の現状は、人口減に加えて超低利、そして都銀、地銀、信金、郵貯などがあふれるオーバーバンキング。そして、デジタル化という壁が立ちはだかる。手をこまねいているわけにはいかない。
一方で、気になるのが富山を拠点とし、北陸3県、北海道にも営業網を持つ北陸銀行。バブルが崩壊し、多額の不良債権を抱えて経営危機の陥ったのが2002年。無配となったが、富山県を始め、多くの県民が増資に応じた。また、振込手数料を全国一高い設定にしたが、銀行救済と思って受け入れた。しかし、もう20年が過ぎている。いつまで甘えているのか、と思う。年間数億円となる手数料は顧客の負担であり、この顧客第一を持ちえない経営感覚に失望している。
支店の統廃合、ATMの削減などの合理化は外から見てもよくわかるが、前向きな施策が全く見えない。さりとて、新規事業で多くの収益を得るというのも至難のことで、何もしないのが生き残り策としているのかもしれない。これでは銀行内の活気など全く期待できず、死んだような組織になってしまう。
地銀だけではない。地方鉄道はもう倒産状態で、土地の切り売りで何とかつないでいる。地方百貨店、地方メディア、地方病院も同様で、地方自治体にいたるまで存亡の危機にあるといっていい。
どう切り抜けていくのか。いろいろな仮説を出し合っていかねばならない。