2021総選挙

 埼玉県出身の富山大学1年生から見えてきたもの。最近出会ったのだが、想像以上の厳しい現実だ。実家は自営業だがコロナ禍の影響をもろに受け、いま仕送り5万円のみで生活している。寮に入れなかったこともあり、食費を切り詰めるしかない。理系なのでアルバイトもままならない。年を越すと授業料53万5800円が待ったなし。学生生活が持続できるかどうか。とにかく教育にカネがかかり過ぎる。親ガチャではないが友人間での格差もあり、みんなと話せる空気ではない。

 これを聞いていたわが同輩が切り出した。孫が東洋大学を来春卒業するのだが、ようやく決まった就職先は150人規模のIT企業。企業そのものの存続や、ぎこちない働き方を想像すると、下宿と職場しかない状況で耐えていけるかどうか。その上に奨学金の支払い270万円を背負っている。姉もそうだったが、結局は富山に戻ってきた。アルバイトで小遣い程度を稼ぐのが精一杯だ。孫世代の行く末を考えると暗くなってくる。このふたりから見えるのは、まぎれもない日本の現実だろう。

 実は19年に「れいわ勝手連とやま」なる規定も規則も代表もいない集まりが出来て、山本太郎の活動を応援している。この総選挙では比例の候補も決まらず、傍観するしかないと思っていた。ところが、東京8区の山本太郎出馬騒動から、辻村ちひろが北陸信越比例ブロック候補に決まった。さて、どうするといっても10数人だ。ポスター張り、ポスティング、辻村街宣の県内帯同活動を富山県内の片隅でチョコチョコやってきた。その一環で、10月24日富山駅前でチラシ配りをしていると、標記の富大生が「ボランティアで手伝わせてほしい」と声を掛けてきたのである。うれしいね、寿司食いねえ。こちらは勇気百倍と元気が出た。27日には富山大学正門でも一緒にやらせてもらった。

 さて、そんなこともあっての選挙結果である。れいわは山本太郎 (東京) ・たがや亮 (南関東) ・大石あきこ (近畿) と3議席を獲得した。やれやれというところだが、辻元清美の落選は大きなショックである。亡き筑紫哲也が背中を押して政界に送り出し、若い人材を発掘する慧眼力に驚いたものである。来年の参院選でぜひカムバックしてほしい。

 想像するに、自公政権を維新が補完していく体制が整ったといっていい。選挙戦で与党が訴えたのは成長から分配へ、野党は分配から成長へ。与野党ともに反緊縮財政では一致し、ともあれカネはなくとも、カネを回そうということだった。これに維新が加わると大きく変質する。維新は身を切る改革のおこぼれでカネを回すという。大学の教職員の給与は高すぎる、大阪市立大学と大阪府立大学の統合のように大学数を減らした分を奨学金にしよう、文楽など不要、大阪万博及びカジノIR構想など稼げるところで稼がんとどうする、となる。岸田政権がそのかじ取りができるかどうか。日曜討論はれいわ対維新の激論がかわされることになろう。

 一番危惧しているのは、防衛費をGDPの2%に倍増しようという動きだ。米国の政策シンクタンクCSISが動き、高市政調会長がいち早く同調している。米国追従外交が台湾危機などといって、更に強化される。辺野古移設も不可能な難工事に莫大なカネをつぎ込む。時代に逆行する政治が当分続く。その覚悟で動こう。

 冒頭のふたりの嘆きはどうなるのだろうか。資本主義が行き詰まり、民主主義も機能しなくなって、従来モデルでは語れなくなってきている。れいわ新選組のニューディール策でも難しいが、新しい発想で解決するしかない。意外に身近な立山町でのコミュニティにヒントがありそうな気がする。さぁ、汗を流そう。

 

 

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